移転準備中の事務所入口に設置された防犯カメラと入退室カード読取機

事務所移転の防犯対策は、引っ越しが終わってからではなく、物件とレイアウトを検討する段階から準備を始めると進めやすくなります。機械警備、防犯カメラ、入退室管理は、間仕切りや扉、電源、通信回線の計画と関わるためです。

特に分けて考えたいのが、荷物の搬入日、新事務所の業務開始日、旧事務所の明け渡し日です。新拠点にパソコンや書類を運び込んでから警備開始まで間が空いたり、旧拠点に荷物が残っているのに警備を終了したりしないよう、両方の拠点を一つの工程表で管理します。

この記事では、事務所移転を担当する経営者・総務担当者に向けて、設備の手配順、既存機器を移設する判断、切り替え時の注意点、業務開始前の確認項目を整理します。

1. 移転時に決める防犯設備と担当者

移転先の図面をもとに防犯設備の配置を検討する様子

新しい間取りで「どこを、いつ、誰から守るか」を整理する

旧事務所と同じ台数のカメラやセンサーを設置しても、新しい事務所に適した配置になるとは限りません。出入口が増える、受付と執務室が離れる、窓のある部屋に重要書類を置くなど、移転で変わる条件を図面に書き出します。

  • 来客が入れる受付・会議室と、従業員だけが入る執務室を分ける
  • 書類、パソコン、サーバー、現金などの保管場所を決める
  • 早朝出勤、残業、休日出勤、清掃・保守業者の出入りを整理する
  • 正面入口だけでなく、通用口や窓なども現地で確認する

防犯カメラは映像の記録と確認、入退室管理は入れる人や時間の管理、機械警備は異常の検知・通報と契約に応じた対応を担います。必要な設備を選ぶ前に役割を整理したい方は、機械警備と防犯カメラの違いと選び方をご覧ください。

ビル側の警備範囲と、自社の窓口担当を確認する

テナントでは、建物の共用部に警備があっても、自社の専有部まで同じように監視されるとは限りません。管理会社に警備範囲、利用時間、共用扉の施錠、異常時の連絡先を確認し、自社で補う範囲を決めます。

総務担当者を調整窓口にし、管理会社・内装業者・電気通信業者・警備会社の連絡先を共有しておくと、扉や配線位置の変更を伝えやすくなります。工事の可否や承認手順も、物件の条件に沿って確認しましょう。

2. 物件決定から稼働開始までの手配順

新事務所で防犯設備に関わる配線を準備する作業員

内装が固まる前に、防犯設備の位置を相談する

相談の開始時期は「移転の何日前」と一律に決めるより、物件・図面・移転予定日が分かった段階を目安にします。納期や工事日数は、設備、回線、建物の工事条件によって変わります。見積もり時に、機器手配、施工、試験に必要な日程をそれぞれ確認してください。

段階 主に決めること 確認先
物件・間取りの検討 警備範囲、来客動線、重要物の保管区画、工事制限 総務・管理会社
内装計画の調整 カメラ・センサー・カード読取機の位置、扉の仕様 内装業者・警備会社
電源・通信の手配 機器用電源、配線ルート、必要な回線、開通予定日 電気通信業者
施工・搬入の調整 取付日、試験日、先行搬入する荷物、鍵の管理 移転担当・各業者
使用開始前 録画・通報・入退室の確認、権限登録、従業員説明 警備会社・自社

電源・回線・扉の仕様を別々に決めない

カメラの取付位置だけ決めても、録画機までの配線や電源が整っていなければ使用できません。ネットワークカメラを使う場合は、PoE給電の対応や容量、回線・ルーターの設定、遠隔閲覧する端末も確認します。機械警備の通信方式はシステムにより異なるため、事務所のインターネット回線がそのまま使えると決めつけないことが大切です。

電気錠やカード読取機を設置する場合は、扉や枠との適合、電源・配線、停電時の動作、避難時に安全に出られる仕組みを、管理会社や施工業者と確認します。内装完成後の追加工事を減らすため、図面上の予定位置と現場を照らし合わせましょう。

見積もりに必要な現場情報は、防犯設備の見積もり前チェックリストで詳しく整理しています。

移転日と内装計画に合わせて、防犯設備の準備を進めませんか

移転先の図面、荷物の搬入予定日、既存設備の情報があると相談が具体的になります。新事務所で必要な機械警備・防犯カメラなどの組み合わせをSATへご相談ください。

事務所移転の防犯対策を相談する

3. 既存設備の移設と新規導入をどう判断するか

移設前に防犯カメラと録画機の状態を確認する様子

機器の状態と、移設できる契約かを先に確認する

今の設備が動いていても、そのまま新拠点へ持ち込めるとは限りません。購入・レンタル・リースなどの所有形態と、移設や撤去の条件を確認します。警備会社の機器は自社で取り外さず、契約先に移転の予定を伝えてください。

自社所有のカメラも、本体だけで判断しないことが重要です。録画機との互換性、電源方式、配線、更新プログラムの提供状況、故障時の保守対応まで調べます。老朽化や録画不良が気になる場合は、防犯カメラの寿命と更新時期の考え方が判断材料になります。

移設費だけでなく、新拠点で必要な性能を比べる

確認項目 移設を検討しやすい条件 更新・追加を検討する条件
映像・録画 新しい撮影範囲でも必要な映像を確認できる 入口の位置や明るさが変わり、映像が不足する
互換性・保守 録画機・電源・通信が適合し、保守も継続できる 接続できない、更新や修理の継続が難しい
警戒範囲 新しい間取りに合わせた再配置で対応できる 出入口や区画が増え、追加機器が必要になる
費用・日程 撤去・運搬・再施工・試験を含めても合理的 再施工の負担が大きい、両拠点で同時使用が必要

移設と新規導入を比べるときは、撤去、配線、再設定、試験、追加部材まで範囲をそろえて見積もります。「移設できるか」と「移設する方が運用しやすいか」は別々に確認しましょう。

4. 旧事務所と新事務所の警備を切り替える

荷物が残る旧事務所の入口を監視するカメラと開閉センサー

搬入日・業務開始日・明け渡し日を一枚の工程表にする

例えば、金曜日に新事務所へパソコンを搬入し、月曜日から業務を始める計画なら、週末の無人時間も防犯対策の対象です。警備開始を月曜日に合わせるだけでは、その間の管理が抜ける可能性があります。新拠点に守る物を置き始める時点から、どの対策を使えるか確認します。

旧拠点も、主な引っ越しが終わってから書類や機器を回収したり、原状回復工事が続いたりすることがあります。残置物、業者の入室、鍵の返却、電源・回線の停止、警備終了の順番を確認し、明け渡しまでの管理担当を決めます。

  • 旧拠点:最終搬出日、警備終了日、機器撤去日、明け渡し日を確認
  • 新拠点:回線開通日、施工・試験日、初回搬入日、警備開始日を確認
  • 共通:休日・夜間の連絡先と、日程変更を連絡する担当者を決定

工事中の入退室と、予定がずれた場合の管理を決める

内装業者、引っ越し業者、通信工事担当者などが出入りする期間は、入室できる日時、鍵・カードの貸出先、返却の確認方法を整理します。工事中に使った一時的なカードやアカウントは、作業完了後に必要性を確認して停止・変更します。

回線開通や機器納入が遅れた場合は、通常の警備を開始できるか契約先に確認します。未稼働の設備を使える前提で荷物を搬入せず、重要物の搬入延期や保管場所の変更、利用可能な暫定対策を関係者と決めておきましょう。

契約の変更・終了に必要な連絡時期や費用は個別条件で異なります。移転日が決まったら現在の契約先へ確認し、旧拠点と新拠点を同時に管理する期間の有無も伝えてください。

5. 引き渡し時の動作確認と従業員への説明

新事務所の入口で入退室カードの動作を確認する様子

機器が付いているだけでなく、実際に使えるかを確認する

設備の引き渡しでは、カメラ映像が表示されることに加え、録画した映像を再生できるか、時刻が合っているか、権限を持つ担当者が操作できるかまで確認します。机や棚、荷物を配置した後に死角が生じていないかも見直します。

機械警備の検知・通報試験は、警備会社と事前に日時と方法を調整して実施してください。非常通報や警報の試験を従業員だけで行うと、実際の出動などにつながる場合があります。

対象 引き渡し時の確認 記録
カメラ・録画機 必要な画角、録画再生、時刻、保存設定、夜間の映り方 確認日・担当者
センサー・機械警備 警戒範囲、開始・解除、検知から通報までの試験 試験結果
入退室管理 利用者別の権限、扉の動作、一時カードの整理 権限一覧
電源・通信 接続状態、障害時の連絡・復旧方法、設定の引き継ぎ 連絡先・資料
異常時対応 通知先、休日の担当者、警備会社との連絡方法 連絡網

初日の操作と、例外の出入りを従業員に共有する

新しい事務所では、入口の位置や警備操作の場所が変わります。最初に入る人、最後に退勤する人、休日出勤する人それぞれの手順を共有し、担当者が不在のときの連絡先も決めます。全員で同じ認証情報を使い回す運用は避け、利用者に必要な権限を割り当てましょう。

開始直後は、清掃や納品の時間と警戒時間が合っているか、家具でセンサーやカメラを遮っていないかを確認します。毎日の確認手順は、事務所の退勤時防犯チェックリストをもとに、新しい間取りに合わせて整えると運用しやすくなります。

6. まとめ|移転の工程に防犯設備の準備を組み込む

事務所移転の防犯対策は、物件や内装の検討と並行して始めることが大切です。新拠点に必要な警戒範囲を整理し、電源・回線・扉の仕様を調整したうえで、既存設備の移設と新規導入を比較します。

荷物の搬入から警備開始まで、旧拠点の搬出から明け渡しまで、それぞれ誰がどの方法で管理するかを決めておきましょう。図面と移転工程表、現在の設備・契約情報をそろえると、具体的な相談につながります。

新事務所の防犯設備と導入手順をSATへご相談ください

広島県および近隣エリアで事務所移転を予定している方は、移転先の所在地、図面、搬入・業務開始の予定日をお知らせください。機械警備・防犯カメラなどの設備や、入退室管理を含むご希望について、現場条件に応じた対応内容をご相談いただけます。

移転先の防犯プランを相談する

7. 事務所移転の防犯対策でよくある質問

Q. 機械警備は移転の何日前に相談すればよいですか?

A. 物件・図面・移転予定日が分かった段階で相談を始めると、内装や回線の手配と調整しやすくなります。必要な期間は設備や工事条件によって異なるため、初回搬入日に間に合うか、施工・試験を含めた日程を確認してください。

Q. 今使っている防犯カメラはそのまま移設できますか?

A. 所有形態や契約条件、機器の状態、新拠点での配線・録画機との適合によります。移設可能でも追加機器が必要になる場合があるため、撤去・再施工・設定・試験を含む費用と、新規導入した場合の内容を比較します。

Q. ビルに警備があれば、自社の機械警備は不要ですか?

A. 共用部と専有部の警備範囲、監視時間、異常時の対応によって判断が変わります。管理会社に対象範囲を確認し、自社の執務室や保管場所に必要な対策を整理してください。

Q. インターネット回線が未開通でも警備を開始できますか?

A. 使用する機器と通信方式によります。機械警備、録画、遠隔閲覧で必要な条件が異なることもあるため、どの機能をいつから使えるかを契約先や施工業者に確認してください。

参考資料:セコム「オフィスセキュリティ」、ALSOK「オフィス・事務所」。設備の一般的な役割を参考に、移転時の確認手順は本記事で実務向けに整理しています。個別の工期・費用・対応範囲は現地条件と契約内容をご確認ください。