
倉庫や資材置き場は、商品・部材・工具・機械など高価な資産が集中的に保管される場所です。一方で、人目が少なく、夜間や休日は無人になりやすいため、盗難・不法侵入・いたずらのリスクが高いエリアでもあります。そのため、倉庫・資材置き場のセキュリティをいかに高めるかは、中小企業や工事業者にとって重要な経営課題と言えます。
本記事では、「倉庫 資材置き場 セキュリティ」をキーワードに、現場で起こりがちなトラブルと対策の考え方、防犯カメラを活用したセキュリティ向上のポイントを分かりやすく解説します。防犯対策の専門家でなくても、基本的な考え方を押さえれば、限られた予算の中でも効果的なセキュリティ強化が可能です。
なお、法律や条例に関わる内容については、あくまで一般的な注意点をまとめています。最終的な判断や運用ルールの策定にあたっては、顧問弁護士や専門家への確認をおすすめいたします。
目次
1. 倉庫・資材置き場のセキュリティリスクとは
1-1. よくある被害とその傾向
倉庫・資材置き場で発生しやすいセキュリティインシデントとしては、次のようなものがあります。
- 資材・工具・部材の盗難
- フォークリフトや重機など車両の盗難・持ち出し
- フェンス・扉の破壊や落書きなどの器物損壊
- 不審者の侵入、情報収集を目的とした下見
特に建築資材や金属類、転売しやすい小型電動工具などは狙われやすく、被害額が大きくなりがちです。倉庫・資材置き場のセキュリティは、単なる盗難防止にとどまらず、事業継続(BCP)にも直結する重要なテーマと言えます。
1-2. 時間帯・曜日ごとのリスク
倉庫・資材置き場のセキュリティリスクは、時間帯や曜日によって傾向が変わります。以下は一例です。
| 時間帯・曜日 | 想定されるリスク | 防犯カメラの役割 | 対策検討済み |
|---|---|---|---|
| 平日・日中 | 従業員による持ち出し、荷受け時のトラブル | 出入口・積み込み場を録画し証拠を残す | □ |
| 平日・夜間 | 不審者の侵入、下見行為 | 人感検知での通知、赤外線カメラでの監視 | □ |
| 週末・祝日 | 無人時間帯を狙った侵入・盗難 | 遠隔監視と録画で抑止と事後証拠確保 | □ |
| 長期休暇中 | 繰り返し狙われる、計画的な盗難 | 録画期間の確保、警備会社との連携 | □ |
このように、倉庫・資材置き場のセキュリティを考える際は、「いつ」「どのようなリスク」が高まるのかを整理し、防犯カメラの設置位置や録画期間を決めていくことが大切です。
2. 狙われやすい倉庫・資材置き場の特徴
2-1. 外から見えにくい・人通りが少ない
通りから奥まった場所にある倉庫、工業団地の一角にある資材置き場など、人通りが少なく「何をしていても気づかれにくい場所」は狙われやすくなります。外から見えない安心感は、正規の利用者だけでなく、侵入者にとっても都合が良い環境になってしまいます。
2-2. 出入口が多い・境界が曖昧
敷地が広く、出入口やフェンスの切れ目が多い資材置き場では、侵入経路を完全に把握していないケースも少なくありません。「裏側のフェンスが一部壊れたまま」「隣地との境界があいまい」などは典型的なリスク要因です。
2-3. 資材が屋外に積み上がっている
屋外に積み上がった資材や工具は、そのまま持ち出しが可能な“現金同等物”として見られることがあります。特に再販価値の高い建材・銅線・機械などは、パレット単位・スキマ時間でも盗難が発生しうるため、セキュリティの見直しが必要です。
3. 防犯カメラを中心としたセキュリティ強化の考え方
3-1. 「抑止」「検知」「記録」をバランスよく
倉庫・資材置き場のセキュリティ対策は、以下の3つの役割を組み合わせて考えると整理しやすくなります。
- 抑止:侵入しづらい・やりづらい雰囲気を作る(カメラ・照明・掲示物など)
- 検知:不審な動きにいち早く気づく(センサー・通知機能・警備会社連動など)
- 記録:事後の証拠を残し、原因究明や再発防止に活かす(防犯カメラ録画映像など)
防犯カメラは、これらのうち「抑止」と「記録」に大きく貢献し、機種やシステムによっては「検知」にも活用できるため、倉庫・資材置き場セキュリティの中心的な役割を担います。
3-2. 倉庫・資材置き場向けカメラの基本機能
屋外の倉庫や資材置き場では、一般的な屋内用カメラと比べて、次のような機能が重要になります。
- 防塵・防水性能(IP規格など)
- 夜間でも映像が見える赤外線(IR)機能
- 暗所でもカラー撮影ができる高感度機能
- 広い範囲を映せる広角レンズや望遠ズーム
- 人や車両を検知するAI分析機能
すべてを最高スペックで揃えるのではなく、「自社の倉庫・資材置き場セキュリティに必要な機能は何か」を整理したうえで、予算とバランスを取りながら選定することがポイントです。
4. 倉庫・資材置き場での防犯カメラ設置ポイント
4-1. まず押さえるべき“マストエリア”
倉庫・資材置き場における防犯カメラの設置箇所は、次の順番で優先度をつけて検討すると効率的です。
| 設置場所 | 主な目的 | 優先度 | 設置検討済み |
|---|---|---|---|
| 敷地出入口 | 誰が出入りしたかの把握、車両ナンバー確認 | 高 | □ |
| 倉庫扉・シャッター前 | 施錠状況・侵入行為の記録 | 高 | □ |
| 資材保管エリア | 資材の持ち出し監視、不審行為の抑止 | 中 | □ |
| 荷捌き場・積み込み場 | 荷受け・積み込み時のトラブル記録 | 中 | □ |
| 裏口・フェンス付近 | 死角のカバー、侵入経路の監視 | 中〜低 | □ |
限られた台数で効果的な倉庫・資材置き場セキュリティを実現するためには、「誰のどのような行為を記録したいのか」を明確にして設置箇所を決めることが重要です。
4-2. 死角・逆光・夜間を意識したカメラ配置
同じ台数の防犯カメラでも、設置位置や向きによって映像の活用度合いは大きく変わります。特に以下のポイントに注意が必要です。
- 背後から強い光が入る逆光にならないか
- 資材の山やコンテナの影で死角が生まれていないか
- 夜間照明が届かないエリアを赤外線カメラでカバーできているか
現場の状況によっては、実際にモニター画面を見ながら角度を微調整し、倉庫・資材置き場のセキュリティに必要な範囲をしっかり映せているか確認することをおすすめします。
5. 出入口管理と人の動きの“見える化”
5-1. 車両・人の出入りを記録するメリット
倉庫や資材置き場の出入口に防犯カメラを設置すると、次のような効果が期待できます。
- どの車両が何時に出入りしたかを確認できる
- 外部業者・配送業者とのトラブル防止に役立つ
- 不審車両のナンバーを記録できる
ナンバー認識機能付きのカメラやシステムを活用すれば、ログを検索して該当車両をすぐに特定できるため、倉庫・資材置き場のセキュリティレベルがさらに高まります。
5-2. 入退室管理システムとの連携
倉庫の扉や事務所出入口には、ICカードや暗証番号を使った入退室管理システムを採用するケースも増えています。防犯カメラ映像と入退室ログを組み合わせることで、
- 「誰が」「いつ」鍵を開けたのか
- その際の様子に不審な点はないか
といった情報を突合でき、内部不正の抑止にもつながります。
6. 照明・フェンスなど物理的セキュリティとの組み合わせ
6-1. 防犯カメラだけに頼らない多層防御
倉庫・資材置き場のセキュリティは、防犯カメラだけに頼るのではなく、フェンス・扉・鍵・照明などの物理的対策と組み合わせることで、より高い効果が得られます。
- フェンスや門扉の破損箇所を定期点検する
- 錠前を防犯性の高いタイプに変更する
- 人感センサー付き照明で夜間の明るさを確保する
こうした対策と防犯カメラを連動させることで、「侵入しにくく、侵入しても記録される」倉庫・資材置き場セキュリティを実現できます。
6-2. 防犯カメラと照明の相性
夜間、真っ暗な状態では防犯カメラの性能を十分に発揮できない場合があります。赤外線カメラを使用する場合でも、ある程度の照度がある方が、顔や服装、車両ナンバーなどの識別性が高まります。倉庫・資材置き場のセキュリティを高めるには、「カメラの視野に十分な光があるか」をセットで検討しましょう。
7. 運用ルールと教育の重要性
7-1. 鍵管理・持ち出しルールの徹底
どれだけ防犯カメラや設備を整えても、日々の運用がルーズであれば倉庫・資材置き場セキュリティは十分に機能しません。例えば、
- 鍵の保管場所・貸出ルールを明確にする
- 高価な工具や機械の持ち出し方法を決める
- 退社前・休日前の施錠確認をチェックリスト化する
といったルールを文書化し、従業員に周知することが大切です。防犯カメラの存在を従業員に伝えることで、内部不正の抑止効果も期待できます。
7-2. プライバシー配慮と掲示
防犯カメラの運用にあたっては、従業員や来訪者のプライバシーにも配慮する必要があります。一般的には、
- カメラ設置エリアに「防犯カメラ作動中」などの掲示をする
- 録画データの閲覧権限や保存期間をルール化する
といった対応が推奨されます。詳細は個別の状況や法令・ガイドラインによって異なる可能性があるため、必要に応じて専門家にご相談ください。
8. 倉庫・資材置き場セキュリティ導入前のチェックリスト
8-1. 現状把握のためのチェック項目
倉庫・資材置き場セキュリティを見直す前に、まずは現状を把握することが重要です。以下のチェック項目を参考に、社内で一度棚卸しをしてみてください。
| 確認項目 | ポイント | 確認済み |
|---|---|---|
| 敷地の出入口は何か所あるか | フェンスや門扉も含めて洗い出す | □ |
| 夜間に真っ暗になるエリアはないか | 照明の有無・明るさを実際に目で確認 | □ |
| 過去の盗難・トラブルの発生履歴 | いつ・どこで・どのような被害があったか | □ |
| 高価な資材・工具の保管場所 | 屋外か屋内か、施錠状況はどうか | □ |
| 現在の防犯カメラ台数と設置場所 | 死角になっている部分がないか | □ |
8-2. 防犯カメラ選定時のポイント整理
防犯カメラの機種選定にあたっては、次のような観点を整理しておくとスムーズです。
- 屋外対応の防塵・防水性能が必要か
- 夜間の映像をどの程度の明るさで残したいか
- 遠隔からスマートフォンで倉庫・資材置き場を確認したいか
- 録画を何日分保存したいか
- 既存のネットワークやレコーダーと連携できるか
これらを整理したうえで、予算や工事の制約も踏まえて業者に相談することで、自社に合った倉庫・資材置き場セキュリティを構築しやすくなります。
9. よくある質問(Q&A)
Q1. 倉庫・資材置き場には最低何台くらい防犯カメラを付けるべきですか?
敷地の広さや出入口の数によって必要台数は変わりますが、目安としては「敷地出入口」「倉庫の主要扉」「資材保管エリア」の3か所を最低ラインとして検討するとよいです。広い敷地や死角が多い場合は、実際の図面や写真をもとに業者へ相談されることをおすすめします。
Q2. 夜間や休日に無人となる倉庫のセキュリティはどう高めればよいですか?
無人となる時間帯は、倉庫・資材置き場セキュリティにとって最もリスクが高まる時間です。防犯カメラによる録画に加え、人感センサー付き照明で不審者の動きを目立たせる、フェンスや扉の施錠を徹底する、必要に応じて警備会社との連動を検討するなど、複数の対策を組み合わせることが重要です。
Q3. 防犯カメラの映像はどのくらいの期間保存すればよいでしょうか?
一般的には、少なくとも1〜2週間程度は保存できるようにしておくケースが多いです。倉庫・資材置き場のセキュリティ上、被害発覚まで時間がかかることもあるため、可能であれば1か月程度保存できる容量を確保しておくと安心です。ただし、保存期間や運用方法については、社内ルールや法令・ガイドラインも踏まえて検討してください。
Q4. 従業員から「監視されている」と思われないか心配です。
倉庫・資材置き場セキュリティの目的は、従業員を監視することではなく、盗難やトラブルから会社と従業員双方を守ることだと明確に伝えることが大切です。設置理由や運用ルール、映像の取り扱い方針を説明し、プライバシーに配慮した位置への設置を行うことで、理解を得やすくなります。
Q5. 費用を抑えながらセキュリティを強化するコツはありますか?
すべてを一度に導入しようとすると費用負担が大きくなります。まずは「倉庫・資材置き場セキュリティ上のリスクが高い箇所」に重点的に防犯カメラや照明を導入し、効果を見ながら段階的に拡張する方法がおすすめです。また、既存のネットワークやポール・建物を活用して工事費を抑えるなど、業者と相談しながら無理のない計画を立てるとよいでしょう。
この記事の制作者

粂井 友和
システム警備を提供して20年以上、お悩みを解決したお客様5,000件以上のSATで責任者を務めています。
防犯カメラや防犯センサーなどを活用した防犯システムを、様々な状況に適した形でご提案します。
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