地震後に点検する店舗・事務所の防犯カメラと機械警備設備

2026年7月28日、熊本県熊本地方を震源とする地震が発生し、熊本県内で最大震度7が観測されました。国土交通省などの公的機関は、7月30日も被害状況や対応状況を更新しています。店舗・事務所・工場・倉庫では、従業員と来訪者の安全、建物、電気・ガス設備の確認が最優先です。

そのうえで見落としたくないのが、防犯カメラや録画機、扉・窓のセンサー、機械警備、通信回線などの防犯設備です。外見に異常がなくても、カメラの向きがずれたり、録画や通知だけが止まったりすることがあります。

この記事では、地震後に事業者が確認したい防犯設備を7項目に整理し、安全な点検の順番、避難で事業所が無人になる場合の備え、復旧後の動作テスト、BCPへの組み込み方を解説します。

1. 熊本県熊本地方の地震と事業所の防犯

熊本県熊本地方の地震後に備える店舗・事務所の防犯設備

今回の地震では、熊本県内で非常に強い揺れが観測されました。揺れの後は、建物の損傷や停電だけでなく、防犯設備の固定部、配線、電源、通信に目に見えにくい不具合が起きる可能性があります。

たとえば、モニターに映像が出ていても、録画日時がずれている、特定のカメラだけ録画されていない、動体検知の範囲が変わっているといった状態が考えられます。扉や窓のわずかな変形により、開閉センサーが正しく反応しない場合もあります。

点検の目的は、急いで通常営業へ戻すことではありません。人命と建物の安全を確認した後、防犯設備が「見える」「記録する」「知らせる」「対応につなげる」という役割を保っているかを順番に確かめることです。

2. 防犯設備より先に建物の安全を確認

防犯設備の点検前に建物の安全を確認する担当者

防犯カメラや警報機器が気になっても、危険な建物へ入って点検してはいけません。自治体、消防、電力・ガス事業者、建築や設備の専門家から立ち入りを控えるよう案内されている場合は、その指示に従ってください。

消防庁は、地震で傷んだ配線や電気機器に通電した際に火災が起きる危険性を案内しています。停電から復旧した場合も、焦げたにおい、煙、異常音、破損した配線、浸水などがあれば、機器を再起動せず専門事業者へ相談しましょう。

確認した状況 取るべき行動
壁・天井の大きな亀裂、落下物、建物の傾きがある 立ち入らず、建物の専門家や関係機関へ連絡
ガス臭、煙、焦げたにおい、火花、異常音がある 安全な場所へ避難し、消防や設備事業者へ連絡
配線・コンセント・分電盤・機器が破損または浸水している 触れずに電気工事業者などへ点検を依頼
立ち入りと電気設備の安全が確認できた 記録を残しながら防犯設備を一つずつ点検

3. 地震後に確認したい防犯設備7項目

地震後に確認する防犯カメラ・録画機・センサーなど7項目

建物と電気設備の安全を確保できたら、次の7項目を順に確認します。点検前の状態を写真に残し、異常を見つけた機器は無理に分解・移動せず、設置業者や警備会社へ相談してください。

項目 主な確認内容 異常時の対応
1. 防犯カメラ 取付金具の緩み、落下の恐れ、向き・画角のずれ、レンズの破損、配線の抜け 高所へ無理に上らず、施工業者へ連絡
2. 録画機・保存データ 録画日時、全カメラの保存状況、実際の再生、異音、エラー表示、保存期間 電源の入切を繰り返さず、ログと画面を記録
3. 扉・窓のセンサー 扉や窓の変形、磁石とセンサーの位置ずれ、開閉時の検知、配線の損傷 対象箇所を仮に管理し、警備会社へ連絡
4. 機械警備の主装置 警戒・解除、異常表示、警備会社との通信、非常通報、連絡先 自己判断でリセットせず、契約先へ連絡
5. 電源・UPS・バッテリー 電源供給、UPSの警告、バッテリー残量、発熱や膨張、バックアップ時間 異臭や変形があれば使用を止め、専門家へ相談
6. ネットワーク・通信 ルーター、回線、LTEなどの予備通信、遠隔映像、時刻同期 回線と機器を切り分け、保守窓口へ連絡
7. 通知・連絡体制 スマートフォン通知、メール、警備会社への通報、責任者と代行者への連絡 通知先を更新し、代替連絡手段を決める

映像が表示されても、必ず録画を再生する

ライブ映像が見えることと、録画データが正常に残っていることは別です。各カメラについて、地震前後の日時を指定して再生し、映像の欠落、時刻ずれ、ノイズがないか確認します。保存日数を見直す際は、防犯カメラの録画保存期間の考え方も参考にしてください。

センサーと機械警備は、警備会社と連携して試験する

扉や窓のゆがみは、センサーの位置ずれや誤報・未検知につながります。試験通報を行うときは、事前に契約先の警備会社へ連絡し、実際の警報と混同されないように進めましょう。仕組みを確認したい場合は、機械警備サービスの基礎解説もご覧ください。

停電対策は、電源と通信をセットで考える

カメラや録画機だけに予備電源があっても、ルーターや回線終端装置が停止すれば、遠隔監視や通知が使えないことがあります。UPSや蓄電池の選び方は、停電時の防犯リスクとUPS・蓄電池で詳しく解説しています。

地震後の防犯設備に不安がある方へ

防犯カメラ、録画機、センサー、機械警備、電源・通信まで、事業所の状況に合わせて確認項目を整理します。危険な場所へ無理に立ち入らず、まずはご相談ください。

防犯設備について問い合わせる

4. 避難で事業所が無人になる場合の防犯

避難で無人になった店舗・事務所を見守る防犯カメラ

避難や休業によって事業所が無人になる場合でも、従業員へ危険な帰社を求めないことが大切です。安全に実施できる範囲で戸締まりや現金・重要物の管理を行い、警備会社や管理会社へ不在期間と連絡先を共有します。

防犯の層 安全にできる対策
侵入を遅らせる 安全が確認された扉・窓の施錠、破損箇所の仮囲いを専門業者へ依頼
異常を検知する 扉・窓センサー、機械警備、動体検知の動作を確認
状況を記録する 録画機の容量、時刻、全カメラの録画を確認
対応につなげる 警備会社、管理会社、責任者、代行者の連絡順を共有

扉が閉まらない、シャッターが変形しているなどの異常があるときは、無理に操作せず、管理会社や施工業者へ連絡します。また、遠隔映像を確認できる場合も、現地の安全確認に代わるものではありません。通常の退勤時チェックは、事務所の退勤時防犯チェックリストも活用できます。

5. 復旧後に行う防犯設備の動作テスト

復旧後の防犯カメラと機械警備を動作テストする担当者

電気や通信が復旧しても、すべての設備が自動的に正常へ戻るとは限りません。一斉に再起動するのではなく、対象機器と結果を記録しながら段階的に確認します。

  1. 建物、分電盤、配線、コンセントの安全確認を終える
  2. 点検前の表示、配線、機器の状態を写真で記録する
  3. 録画機、モニター、カメラ、ルーターなどを手順に沿って起動する
  4. 各カメラのライブ映像と録画再生を確認する
  5. 警備会社と調整したうえで、センサーと通報の連動試験を行う
  6. 遠隔映像、スマートフォン通知、メール、代替回線を確認する
  7. 異常、対応、再点検日、担当者を点検記録へ残す
記録項目 記入例
機器・設置場所 出入口カメラ、事務室録画機、裏口センサーなど
確認した機能 固定、画角、録画再生、時刻、警戒、通知、予備電源
結果・異常 正常、要調整、使用停止、業者へ連絡済み
担当・日時 確認者、確認日時、警備会社や施工業者の担当窓口
次の対応 修理予定、代替措置、再点検日

「電源が入った」「映像が映った」だけで完了にせず、録画、検知、通知、対応まで一連の流れが機能するかを確認することが重要です。

6. 防犯設備をBCPに組み込むポイント

防犯カメラ・UPS・通信機器をBCPに組み込む打ち合わせ

内閣府は、災害や事故などで事業が中断した場合に備え、重要業務を継続・早期復旧するための事業継続計画を案内しています。防犯設備も、事業所を守り復旧を支える設備としてBCPに位置付けておくと、担当者が不在でも動きやすくなります。

設備台帳と優先順位を決める

カメラ、録画機、センサー、警備主装置、UPS、ルーターについて、設置場所、型番、保守窓口、停止時の影響を一覧にします。復旧の優先順位は、人命、火災・電気、建物への出入り、防犯・監視、通常業務の順で考えると整理しやすくなります。

連絡先と代行者を複数用意する

警備会社、設備業者、管理会社、電気・通信事業者の連絡先を、社内システムだけでなく紙でも保管します。責任者と代行者を決め、休日・夜間の連絡順も共有しましょう。

停電・通信断・定期試験を想定する

必要な監視時間からUPSの容量を決め、カメラと録画機だけでなく通信機器も対象にします。携帯回線などの予備通信を用意する場合は、平常時から接続テストを行います。地震後だけでなく、定期点検、設備更新、レイアウト変更のタイミングでも台帳と手順を更新してください。

復旧や更新で見積もりを取るときは、機器価格だけでなく、固定方法、配線、予備電源、通信、保守、動作試験の範囲まで比較します。確認項目は、防犯設備の見積もり・現地調査チェックリストにまとめています。

防犯設備の点検・見直しを一緒に整理します

店舗・事務所・工場・倉庫の防犯カメラ、機械警備、電源・通信を現地の運用に合わせて確認します。地震後の点検やBCPへの組み込みについても、お気軽にご相談ください。

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7. まとめ

地震後の防犯設備点検は、建物と電気・ガス設備の安全確認を終えてから行います。防犯カメラ、録画機、センサー、機械警備、電源、通信、通知・連絡体制の7項目を、記録を残しながら一つずつ確認しましょう。

特に、映像が見えるだけで録画まで正常とは限りません。実際の再生、センサーと通報の連動、遠隔通知まで確認し、異常があれば無理に復旧させず、警備会社や設備事業者へ相談してください。平常時から設備台帳、連絡先、代行者、予備電源・通信、試験手順をBCPへ組み込んでおくことが、災害後の安全な復旧につながります。

地震後の防犯設備に関するQ&A

Q1. 停電が復旧したら、防犯カメラをすぐ再起動してよいですか?

建物、分電盤、配線、コンセント、機器に破損・浸水・異臭・異常音がないことを確認してからにしてください。安全を判断できない場合は通電せず、電気工事業者や設置業者へ相談しましょう。

Q2. ライブ映像が映っていれば、録画も正常ですか?

ライブ映像と録画は別機能です。全カメラについて日時を指定して再生し、映像の欠落、時刻ずれ、ノイズ、保存期間を確認してください。

Q3. 機械警備にエラーが出た場合、自分でリセットしてよいですか?

自己判断でリセットすると、原因や履歴が分かりにくくなることがあります。表示内容を写真に残し、契約している警備会社へ連絡して指示を受けてください。

Q4. 平常時に準備しておくものは何ですか?

防犯設備の台帳、設置場所と保守窓口、責任者と代行者、停電・通信断の代替手段、点検手順、記録様式を用意します。定期的に録画再生、センサー、通知、予備電源・通信を試験し、結果を残しておくことが大切です。