
🔌1. はじめに:停電時の防犯リスクと備えの必要性
停電は台風や地震、落雷、豪雪などの自然災害だけでなく、事故や設備トラブルでもいつ起こるかわかりません。規模によっては復旧まで数時間から数日かかる場合があり、長時間の「無電力状態」が発生します。
家庭用の防犯カメラは家庭用コンセント(AC電源)につながって動作しているため、停電と同時に映像記録も映像の監視も即停止します。重要な瞬間を記録できず、侵入者検知や遠隔からの確認ができなくなるリスクがあります。
24時間体制で防犯カメラを稼働させるには、以下のように「停電時でも電源を確保する仕組み」が欠かせません。
- ⚡ 無停電電源装置(UPS) 内部にバッテリーを搭載し、停電後もカメラやWi-Fiルーターに数時間の電力を供給。
- 🔋 大容量蓄電池システム 停電が長時間に及ぶ場合、数十時間~数日間、複数機器をまとめてバックアップ可能。
本ガイドでは、これらの対策をはじめ、家庭レベルで取り組める停電対策と、屋外カメラへの安全な電源供給方法を初心者向けにわかりやすく解説します。
📷2. 停電で防犯カメラはどうなる?仕組みと問題点
家庭用の防犯カメラはコンセントの電気で動作し、映像の録画や遠隔監視を常に行っています。そのため、停電が起きると次のような問題が発生します。
- 停電直後に電源が遮断され、カメラが即停止
- 映像の記録も途中で途切れ、大事な瞬間を残せない
- スマホやパソコンでの遠隔確認ができなくなる
種類 | 電源供給元 | 停電時の挙動 |
---|---|---|
通常モデル | 家庭用コンセントのみ | 停電と同時に録画・監視が停止 |
UPS接続モデル | コンセント+UPS(内部バッテリー) | UPSのバッテリー分だけ録画・監視を継続稼働 |
💡UPS(無停電電源装置)とは 停電が発生しても内部バッテリーから一定時間、電力を供給し続ける機器です。防犯カメラだけでなく、Wi-Fiルーターや録画機もつなげるため、映像の途切れを最小限に抑えられます。
標準の防犯カメラには内蔵バッテリーがなく、電力供給を止めると動作できません。停電時にも記録と監視を続けたい場合は、必ずUPSなどの外部電源対策を検討しましょう。
🛡️3. 停電時の基本防犯対策アイテム
停電発生時に防犯カメラの録画や監視を止めずに続けるには、以下の3つの機器を用意しましょう。
アイテム | 機能・効果 | メリット | 注意点 |
---|---|---|---|
UPS(無停電電源装置) | 停電後もカメラやWi-Fiルーターへ電力を供給 | 数時間の録画・監視を継続 | 接続機器の消費電力に合わせて容量選定が必要 |
大容量蓄電池システム | 数十時間~数日間、複数機器をまとめてバックアップ | 長時間の電力確保が可能 | 設置スペースや初期費用が大きい |
乾電池式ランプ・懐中電灯 | 停電時の照明として手軽に使用 | 安価で持ち運びやすい | 電池切れや光量不足に注意 |
UPS(無停電電源装置)とは 内部にバッテリーを内蔵し、家庭用コンセントの電気が止まっても数時間分の電力を機器へ自動供給する装置です。
大容量蓄電池システムとは 家庭用コンセントや専用回路から蓄電し、災害時など長時間の停電中に複数の機器をまとめて動かし続けられる装置です。
乾電池式ランプ・懐中電灯とは 単三・単四乾電池で動作する明かりで、停電時に室内を照らしたり、非常持ち出し時の携帯用として重宝します。
🧮4. UPSの選び方と容量計算のポイント
UPS(無停電電源装置)は「何ワット(W)まで電力を出せるか」を示す容量が重要です。以下の手順で必要な容量を見積もり、余裕を持ったUPSを選びましょう。
ステップ1:接続する機器の消費電力を把握する
防犯カメラ……約10W
Wi-Fiルーター……約10〜15W
デスクトップPC……約100〜300W
ディスプレイ……約30〜50W
(消費電力は機種によって異なりますが、目安としてお考えください)
ステップ2:合計消費電力を算出する
上記リストから自宅で使う機器の消費電力を足し算する
停電時につなぎたいすべての機器を含める
例: 防犯カメラ(10W)+Wi-Fiルーター(15W)=25W
ステップ3:UPS容量に余裕を持たせる
合計消費電力の1.2倍前後のUPSを選ぶと安心
長時間運転や追加機器を考慮する場合は、さらに大きめに
25Wの合計なら、30W以上の出力が必要。その上で100~200W級の小型UPSなら数時間のバックアップが可能です。
機器別・おすすめUPS容量目安
機器 | 消費電力の目安 | UPS容量の目安 |
---|---|---|
防犯カメラ | 10W前後 | 100~200W級小型UPS |
Wi-Fiルーター | 10~15W | 同上 |
デスクトップPC | 100~300W | 500~1,500W級UPS |
ディスプレイ | 30~50W | 同上 |
UPS選びのコツは「実際に使う電力」を正確に見積もりつつ、予想外の追加負荷やバッテリーの劣化を考えた上で、余裕を持った容量を選ぶことです。これにより、停電時にも継続的に防犯カメラや関連機器を稼働させられます。
🔋5. 大容量蓄電池システムの活用シーン
大容量蓄電池システムとは、家庭用コンセントや専用回路から電気をため込んで停電時にまとめて放電できる装置です。UPS(無停電電源装置)よりも格段に長い時間、複数の機器を同時にバックアップできる点が大きな特徴です。設置には専用スペースと初期費用が必要ですが、災害時の長期停電や電力の効率利用に役立ちます1。
活用シーン
- 商業施設向けモデル:複数台のカメラや録画機、Wi-Fiルーターを数十時間~数日間連続稼働
- 家庭用モデル:防犯カメラ2~3台+ルーターを数時間~1日程度バックアップ
- 電気料金削減:昼間の余剰電力で蓄電し、夜間ピーク時の電力使用量を抑制
大容量蓄電池を導入することで、長時間の停電下でも防犯カメラの録画・監視を途切れさせず、遠隔確認や証拠保全を維持できます。
📝6. 家庭でできる停電前の準備チェックリスト
停電発生時に防犯カメラと周辺機器を確実に稼働させるため、以下の項目を事前に確認・準備しましょう。専門用語は極力避け、必要な場合は補足をつけています。
使用機器の消費電力を洗い出す 防犯カメラ(約10W)、Wi-Fiルーター(約10~15W)など、停電時につなぎたい機器それぞれの「消費電力(W=ワット)」をリスト化します。
UPS(無停電電源装置)の設置場所と容量を確認する UPSは内部バッテリーで一時的に電力を供給する装置です。合計消費電力の1.2倍程度の出力があるモデルを選び、火気や水濡れの心配がない屋内に設置しましょう。
蓄電池システム(ポータブルバッテリー)の充電状況をチェックする 大容量蓄電池は数十時間~数日間、複数機器をまとめてバックアップできます。停電想定時間に合わせ、常に十分な残量があるか確認してください。
乾電池式ランプ・懐中電灯と乾電池の備蓄 単三・単四乾電池で動くランプや懐中電灯を家族の人数分用意し、乾電池のストックも確保します。電池切れを防ぐため、定期的に交換期限を確認しましょう。
配線・接続部の防水・耐候性を確認する UPSから屋外カメラへ電源を引く場合、雨や紫外線に強い耐候性ケーブルを使い、防水カバーを必ず装着します。感電・漏電を防ぐため、電気工事業者への相談も検討してください。
停電シミュレーション(動作テスト)を定期的に実施する 実際にコンセントを抜いて、UPSが自動で給電を開始するか、乾電池ランプが点灯するかを定期点検します。不具合があれば早めに機器交換や電池補充を行いましょう。
このチェックリストをもとに準備を進めることで、万が一の停電時にも防犯カメラの録画・監視を継続しやすくなります。次は、実際の停電発生時にどう行動するかを解説します。
🧭7. 停電発生時の行動フロー
停電が起きたら、まずは慌てずに以下の手順を踏み、最小限の防犯監視を維持しましょう。
乾電池式ランプ・懐中電灯を点灯
停電直後は室内が真っ暗になります。乾電池式ランプや懐中電灯で部屋を照らし、安全に移動できる環境を作ります。
UPS(無停電電源装置)へ防犯カメラ・Wi-Fiルーターを接続
UPSとは、停電後も内部バッテリーから一定時間電力を供給する装置です。防犯カメラとWi-FiルーターをUPSに差し替えることで、映像の録画と遠隔監視を継続できます3。
大容量蓄電池システムで録画機・複数カメラを稼働継続
長時間の停電に備え、家庭用や商業施設向けの大容量バッテリーも併用します。蓄電池から複数の録画機や追加カメラに電力を回し、数十時間以上のバックアップを確保しましょう。
遠隔監視・屋外センサーライトで異常をチェック
スマホやパソコンでUPSを介したカメラ映像を確認しつつ、乾電池式やUPS給電の屋外センサーライトで敷地まわりを照らします。不審な音や人影を見逃さないようにしましょう。
電力復旧後に録画データ・動作ログを確認
電気が戻ったら、UPSや蓄電池で録画したデータに欠けがないかチェックします。機器ごとの動作ログ(電源切り替え記録など)を確認し、万一の録画断があれば補完措置を検討しましょう。
このフローを習慣化することで、停電時の「録画抜け」や「監視停止」を最小限に抑えられます。次章では、屋外カメラへの安全な電源供給方法を解説します。
🌧️8. 屋外カメラへの電源供給方法と防水対策
防犯カメラを屋外で停電時も動かし続けるには、UPS(無停電電源装置)を室内に置きつつ、屋外のカメラまで安全に電源を引く必要があります。UPSは基本的に防水機能がないため、直接屋外に置くのは避けましょう。
以下の方法で、UPSから屋外コンセントやカメラへ電源を延長します。
方法 | 説明 | 注意点 |
---|---|---|
耐候性ケーブル延長 | 雨や紫外線に強い専用ケーブルをUPSから屋外へ配線 | 接続部に防水カバーを装着し、雨水侵入を防止する |
電気工事業者による専用配線 | 資格を持つ業者がUPSから屋外まで屋内配線を延長設置 | 長期安定のため電気工事士資格者に依頼する |
防水カバー(ケーブル用) ケーブルの接続部分に被せる蓋状のカバーです。雨水をシャットアウトし、漏電や故障リスクを下げます。
電気設備の安全確保 屋外配線は感電や漏電の危険があるため、必ず電気工事業者に依頼し、法令に沿った設置を行いましょう。
このように配線と防水対策をしっかり行うことで、停電時でも屋外カメラを安全に稼働させ、24時間体制の監視を維持できます。 次は、復電後の点検・メンテナンス方法をご紹介します。
🧰9. 復電後の点検・メンテナンス
停電から電力が復旧した後も、次回の非常事態に備えて必ず点検とメンテナンスを行いましょう。
録画データの欠損確認
停電中に録画が途切れていないか、録画機やクラウド上の映像をチェックします。重要な映像が欠けている場合は、別機器でのバックアップや証拠保全策を検討してください。
動作ログの確認
UPSや録画機が記録する「電源切り替え履歴」などのログを見て、停電切り替え時に異常がなかったかを確認します。ログにエラーや再起動失敗の履歴があれば、機器の交換や設定見直しが必要です。
バッテリー残量・端子の点検
UPSや蓄電池のバッテリー残量が完全に回復しているか確認し、経年で劣化したバッテリーは交換を検討します。電源ケーブルやバッテリー端子に緩みや腐食がないかも併せてチェックしましょう。
ケーブル・接続部の防水・耐候性チェック
UPSから屋外カメラへ延長したケーブルの防水カバーが確実に機能しているか、紫外線や雨水で劣化していないかを点検します。不具合があれば防水カバーや耐候性ケーブルの交換を行い、安全性を維持してください。
停電再現テストの実施
コンセントを抜いてUPSが正常に切り替わるか、懐中電灯や非常灯が点灯するかを実際にテストします。定期的なシミュレーションで、備えが確実に機能する状態を保ちましょう。
点検項目 | 内容 |
---|---|
録画データの欠損確認 | 停電中の録画が途切れていないかチェック |
動作ログ確認 | UPS・録画機の電源切り替え履歴などを確認 |
バッテリー残量確認 | UPS・蓄電池の電力が完全に回復しているかチェック |
端子・ケーブル点検 | 電源ケーブルや端子の緩み・腐食、有無を確認 |
停電再現テスト | UPS自動切り替えや非常灯点灯を実際に試す |
✅10. まとめ:停電時でも24時間監視を維持するコツ
停電が起きても防犯カメラによる録画・監視を途切れさせず、安全性を確保するには、電源確保の仕組みと事前準備、そして復電後の点検が鍵になります。以下のポイントを押さえて、万全の体制を構築しましょう。
UPS(無停電電源装置)で即座に電力をバックアップ
内蔵バッテリーが停電直後から給電を続けるため、カメラやルーターを数時間にわたり稼働し続けられます。
大容量蓄電池システムで長時間バックアップ
停電が長引く場合には、数十時間~数日間の連続運転が可能。防犯カメラだけでなく、録画機や複数のルーターもまとめて保護できます。
事前準備と定期テストで想定外を防止
使用機器の消費電力をリストアップし、UPS/蓄電池の容量を十分に確保。実際にコンセントを抜く「停電シミュレーション」で、自動切り替えや非常灯の動作を定期チェックしましょう。
屋外配線と防水対策を徹底
UPSは屋内設置に留め、雨や紫外線に強い耐候性ケーブルを使って屋外カメラへ電源を延長。接続部には必ず防水カバーを装着し、専門業者による工事も検討します。
復電後のデータ・機器点検を忘れずに
録画データの切れ目やUPSの動作ログを確認し、バッテリー残量やケーブルの劣化がないか点検。次回の停電時に備えて、機器交換や設定調整を実施しましょう。
これらを組み合わせることで、家庭レベルでも停電中の「録画抜け」「監視停止」を最小限に抑え、24時間体制の防犯カメラ運用を可能にします。万全の備えで、安心・安全な暮らしを守りましょう。
よくある質問(Q&A)
Q. 停電が数時間ならUPSだけで足りますか?
A. 接続機器の合計消費電力とUPSの実効容量(Wh)で概算できます。目安式は 連続稼働時間 ≈(UPS容量Wh ×0.8)÷ 負荷W。例:200WhのUPSに25W負荷なら約6.4時間(200×0.8÷25)です。実際は温度や劣化で短くなる前提で余裕を持って選んでください。
Q. ルーターや録画機もUPSにつなぐべき?
A. はい。カメラのみ給電してもネットが落ちると遠隔確認できません。カメラ+Wi-Fiルーター(やONU/ホームゲートウェイ)を同じUPSへ接続すると、録画と遠隔監視の両方を維持できます。
Q. 家庭用UPSは「純正弦波」と「疑似正弦波」のどちらが良い?
A. ルーターや多くのカメラは疑似正弦波でも動作することが多いですが、録画機や一部のACアダプターは純正弦波がより安定です。機器側の仕様に合わせて選定してください。
Q. PoEカメラの電源はどう確保しますか?
A. PoEスイッチ自体をUPSに接続します。スイッチのPoE給電総容量(W)と接続台数の合計消費を見積もり、余裕を持ったUPS容量にしてください。
Q. インターネット回線が止まったら遠隔監視は?
A. ルーター/ONUをUPSで動かせば復旧しますが、回線側の停電で通信が切れる場合があります。その際はローカル録画(NVR/SDカード)で証拠保全し、予備にモバイルルーターを用意すると安心です。
Q. バッテリー内蔵のワイヤレスカメラだけで代用できますか?
A. 一時的な対策には有効ですが、Wi-Fiやルーターが停止すると遠隔機能は制限