企業の防犯対策は、物理的なセキュリティが基盤となります。

しかし、狙われやすい要因を見落としていると、いくら高度なシステムを導入しても効果は半減します。

本記事では、物理的な防犯の観点から、狙われやすい企業の5つの要因と対策について解説します。

誰でも入れる!?入退室管理が不十分!

店舗や会社、世の中には様々な建物が存在していますが、入口に関して皆様はどうお考えでしょうか?まず1点めに入退出についてが挙げられます。

十分な入退室管理が行えていないと、場合によっては重大なセキュリティインシデントが発生してしまう事例も少なくありません。

入退室管理システムとは一般的に人の出入りを管理するシステムの事です。誰でも入れるというのではなく、特定の条件を満たしていないと扉が開かないようにするとか、カードなどで入室できるメンバーや時間帯を制限するなどのシステムが一般的です。

入退室管理にも種類がありますが、履歴を残さずに制限をかけるだけのものや、いつ誰が入室して、いつ誰が退室したのかをログとして残せる物などがあり、後者は万が一トラブルが発生した時も原因を特定しやすくなるのでお勧めです。

これがあるのとないのでは大きく差がついてきます。

入られたら最後!最適化されていない監視システム!

2点目としては防犯カメラの設置状況です。

やはり防犯カメラがある物件とない物件では狙われるかどうかの差が出てきます。

防犯カメラは証拠を残すのに最適な商品ではありますが、それ以前に犯罪を未然に防ぐための威嚇効果がありますのでここは抑えたい部分です。

しかし、防犯カメラが設置されていても、死角が多いと効果は期待できません

1台よりは2台、2台よりは3台と多くの防犯カメラを設置することで死角が少なくなります。効果的な配置計画が必要になります。

また、「防犯カメラ作動中」などのステッカーを貼ることも1つの抑止力として使える事でしょう。

出入りに時間がかからない!物理的な障壁の不足!

3点目にフェンスやゲート、窓の防犯対策が出来ているかどうかです。

これは建物に対して第一警戒線として有効的です。一般的にはこういった場所から入ろうとする事は周囲から見ても犯罪を犯そうとすることが明らかなので、第3者が発見してくれるかもしれませんし、我々警備の会社としても通報の対象者となります。

ここで気を付けたいのは、フェンスなどで完全に敷地内を覆ってしまい、その他の対策を施さないことです。

逆にそのフェンスが不審者を外からは見えなくさせてしまう可能性があるからです。時には死角を作り出してしまう事があります。

そのため、防犯対策でフェンスを設置する場合、見通しの良いタイプのフェンスが効果的です。

見通しの悪いフェンスを設置する場合には防犯カメラやセンサーなどで、その死角も監視することが非常に効果的です。

窓に関しても1重のロックよりはできる限り2重ロックが効果的という事です。

過度な節電による暗所の増加に注意!

4点目です。

節電意識が高まっている昨今ですが、暗い場所は犯罪者にとって隠れやすく侵入しやすい環境となる事をしっておきましょう。

実際にも、メイン道路などより一本中道に入った薄暗い場所での犯罪が多い結果が出ています。経験上、やはり夜間の犯罪が多いのも事実です。

暗闇、死角というのが犯罪を行おうとする人物からしてみれば条件のようなものなのです。

節電を行うのは非常に良い事ではありますが、それにより真っ暗になってしまうのも防犯の観点から見たときには不安が残ります。

人が通ると光るセンサライトの設置や、節電効果の高いLED照明などを使いながらの防犯対策はお勧めです。

高額な防犯システムも無効にするセキュリティ意識の低さ!

最後になりますが私自身はここが一番重要かと思います。

その施設に関係するすべての方々の意識です。

ここには私の経験上の内容を少し記入してみます。私が見た、実際にあった内容です。

無施錠のまま、扉に鍵が刺さったまま、入口が施錠されているのに隣の窓は空いている、従業員が酔っ払って無施錠で事務所内で寝ている、セキュリティシステムの操作を忘れて帰る、正門を締め忘れる、まだ他の社員がいるかもしれないので鍵は閉めずに帰る、暗証番号は変えたことがない、鍵を何本複製しているか分からない・・・とこんな感じです。これらはほとんどが無意識のうちに日常化されている事が多いです。

従業員や関係者のセキュリティ意識を高めることができない場合、物理的な防犯対策も無力化されます。

従業員の方が遅くまで仕事をしていて、ついつい警備をかけるのを忘れていた。という事も少なからず起こっているのが現状です。不審者に入られた時に警備警戒されていないと意味がありませんよね?

そういった事が起こらないよう、日頃から周知し工夫しておくことが大切になってきます。

我々警備会社ではそういった事の対策は一緒に行いながらお客様をお守りしますが、自ら対策をしようとする会社の場合には日常的にこのような事が起こってしまっているのもよく見かけます。

防犯意識の向上は、絶対に必須、最上位項目だとお考えいただければ幸いです。

まとめ

物理的な防犯対策は、企業の安全を守るための基本です。

しかし、それだけでは不十分であり、従業員や関係者のセキュリティ意識の向上も重要です。

狙われやすい要因を把握し、総合的な防犯対策を講じることで、企業の安全を確保できます。

①入退室管理はできているか?簡易でも対策はした方が良い

②防犯カメラの設置がお勧め。最適な数で死角が無いような計画をしましょう

③フェンスなどで対策を行う事。但し見通しが悪い場合は逆効果になる事もあるので注意が必要。2重ロックが効果的

④暗いよりは明るい方が良い。照明器具などで工夫を凝らす

⑤一番大切なのが、皆さんの意識。全員で防犯対策を心がけることが重要

今回は代表的な例を挙げましたが、防犯意識向上につきると思います。良い対策を全員で共有することが出来れば被害に遭いにくい環境が作れると思いますので日頃からの対策を心がけて下さい。